自治基本条例の浸透は何処までか?心配なことも

私が市議会時代、自治基本条例制定を提案させて頂いたおりには、わがまちには「生涯学習理念があるから基本条例はいらない」という市の幹部の意見を聞いたことがありました。
それでもあまりにも住民自治がやりにくいので「条例を制定」を求めました。北海道ニセコにはじまり全国何処のまちでもすでに条例化されているのですから。何年間か掛川市でも議論をしてくれました。関わった皆様に感謝しています。もう少しで議会上程ということも聞いています。

 しかし、言葉は浸透しているようにこの頃感じますが、何故この条例が必要か、この条例が果たす役割など、まだまだ浸透していないことに気づかされました。
 地域で意見を集約して地域の方針を市や県へ伝えて行くときのプロセスの中で、地域で問題が発生してしまいます。それを絶対避けるようにと考えて、区長会とまちづくり協議会との協働体制や情報の共有化に努めるのですが、最初は円滑にスタートしても、1年や2年経ちますと区長様方が入れ替わります。そうなりますと「聞いていない、もっとこういう組織の方がよかったんじゃないか・・」「それは住民の総意ではない」など出るわ出るわ疑問の数々。苦労して地域の意見集約を市役所や県の専門的な職員らを交えて導きだす様々な学習を繰り返している方々にとっては、最初に戻られるのはかなりの負担です。

聞こえた情報では、ある地区では新たな区長会が、それ以前の区長会の時代に発足したまちづくり委員会を解散させてしまったということも聞こえてきました。何か事情があったのでしょうが残念なことです。

地域自治は、区長様方がリーダーですが、わずかな人数では地域の課題全般にはなかなか対応しきれません。河川愛護、人口増加策、商店街活性化、有害鳥獣から農地をまもる、道路の改良を10年のスパンで要請していく、高齢者の皆様へ介護を受けなくてもよい地域の支援活動、子供たちへの青少年育成事業、などなどわずかの例に挙げても1年2年に出来るものはありません。区長会の交代は2年ほどです。せめて10年できる専門をもつ活動組織が地域の中にほしいものです。
行政だけにはお任せできない時代です。行政改革で行政マンの数も減りました。予算もありません。私達地域が取り組むことで、地域の実情が一番分かった私達の方が「かゆい所に手が届く」適性なる意見集約と税金投入の最適化が出来るはずです。

ほんの行き違い、ほんの感情的なもので、地域が取り組んできたことがご破算になってしまうのは残念です。行政も地域の力の「強さ」と「もろさ」の双方あることを理解して、自治基本条例の制定における環境を今一度見直してほしいものだと期待申し上げるものです。
人間は思考で行動を決めるより、感情で行動を決める方が多いと先日ある講演会で聞いたことがあります。条例は思考的です。感情をも納得させるテクニックがいるようです。

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